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経営技術コンサルタント協会 MTCA

5月22日 (水) 【オープンセミナー】 起業のための技術開発の方法と戦略

日 時: 2024年5月22日 (水) 18:30 ~
種 別: オープンセミナー
講 師: 澤井正和 氏
会 場: グランフロント大阪 北館7F ナレッジサロン
発信者: 竹上端一
新しい技術を利用した事業化については、アイデアの発想(発明)を特許申請(権利化)し、基礎実験(原理確認)と実証試験(実証)を経て、機械設計(装置化評価)とコスト収支(コスト評価)により、市場性や競争力の調査をして、ビジネス戦略を構築する必要があります。
本講演では、環境・エネルギー分野における新技術の事業化の事例を紹介しながら、起業のための技術開発の方法と戦略についてご提案します。

本セミナー・イベントは終了いたしました。

5月のオープンセミナーでは、「起業のための技術開発の方法と戦略」をテーマに
株式会社テクノプランの代表取締役の澤井正和氏に講演いただきました。

<テクノプランの沿革>
テクノプランは2007年に環境技術研究開発コンサルタントとして設立されました。同社は「プロセスシミュレーター・プログラム」の開発に着手し、さまざまなプロセスの特許を取得しています。これまでに、堆肥・炭化プロセスやメタン発酵促進装置などの研究開発を行い、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの支援を受けて実証実験を成功させてきました。

<起業支援の重要性>
日本では、新しい技術を活用した起業の事例が欧米に比べて少ないとされています。これを受け、日本政府はPPP(官民連携)やPFI(民間資金による社会資本整備)を通じてスタートアップ事業を支援しています。しかし、技術支援のためのアドバイザー的な組織が不足していることが課題です。テクノプランはこの問題に対し、技術コンサルタントとしての経験を活かし、起業支援を行っています。

<発明発想法(TRIZ法)の活用>
セミナーでは、TRIZ法という発明発想法の概要とその活用法についても紹介されました。TRIZ法は、問題解決や新しいアイデアの創出に役立つ方法論で、特許取得の際にも効果的です。

<NEDOとの連携>
テクノプランはNEDOとの連携を通じて、さまざまなプロジェクトを推進しています。これには太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー分野の研究開発が含まれます。NEDOの公募研究開発課題に応募し、社会課題の解決に貢献する技術開発を行っています。

<ESCO事業の展開>
テクノプランは、ESCO(エネルギーサービス会社)事業を通じて、効率的なエネルギー利用を促進しています。この事業では、成功報酬型のビジネスモデルを採用し、ユーザーに投資リスクを負わせない仕組みを提供しています。具体的には、高効率脱水システムのレンタル事業や、堆肥からの活性炭製造事業などを展開しています。

<産金学官連携の重要性>
起業と技術開発を成功させるためには、産(中小企業)、金(金融機関)、学(高専、大学)、官(国、自治体)との連携が不可欠です。テクノプランは、この連携を通じて、技術支援や資金調達、市場調査などの支援を行っています。これにより、新技術の社会実装や事業化を推進し、持続可能なビジネスモデルを構築しています。

<終わりに>
澤井氏は講演の最後に、新しい技術を利用した起業にはリスクが伴うが、社会的な課題解決に貢献することが重要であると強調しました。技術と金融、行政の連携を強化することで、より多くのスタートアップが成功する環境を整えることが求められています。テクノプランは、今後もこの方向性を持続し、技術開発と起業支援を通じて社会に貢献していく旨を述べました。
                                   (記:藤井)
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講 師: 澤井正和 氏

profile
1971年 川崎重工業㈱に入社後、環境技術の研究開発から設計及び試運転調整に従事
1999年 「環境技術の環境負荷低減とコストの評価」に関する工学博士号(東北大学)を取得
2007年 ㈱テクノプランを設立し、環境・エネルギー関係の研究開発と事業化支援を開始
2008年 兵庫県の産学共同研究支援事業「高速固液分離装置の開発」の実施
2010年 NEDOの環境技術開発委託事業「堆肥から活性炭を製造し利用する技術開発」の実施
2016年 NEDOの創エネ実証に関する補助事業「メタン発酵促進技術」の実施
2023年 NEDOの地球温暖化対策のための海外実証調査委託事業「環境ESCO事業調査」の実施