菊正宗訪問記
灘五郷の中でも屈指の歴史がある「菊正宗」を訪問した。
江戸時代から続く菊正宗が立地する「灘」は、コメ、水、技術がそろっていて
、辛口のうまい酒 と評判がよく、樽廻船で江戸に４斗樽を満載して運んだといわれている。
まず見学させてもらったのは、酒を保管する樽の製造現場で、吉野地方の１００年杉から製材
した樽木と竹のタガで4斗樽ができる様子だった。
昔は杉の樽で江戸まで運ぶと樽の杉の香りが酒に移り、香りの良さも評判を呼んだようだ。
現代では、樽は保管容器としては使われなくなったので、「樽酒」として販売する酒の
ために、特別に香りをつける用途で樽の製造は続けられている。
酒造メーカーの中でも樽を作っているのは菊正宗だけのようだ。

菊正宗酒造記念館は、菊正宗に長年勤めて熟知している村田さんに案内していただいた
。記念館には古くから使われた道具類が数多く展示されており、現代の製造方法とは異なり気温の
低い早朝から作業を始め、熱湯消毒するために大釜に常に湯を沸かしていたと、当時の苦労を
目の当たりにする説明があった。

　記念館の２階に上がり、「生酛つくり」の解説ビデオで「生酛つくり」と「山廃」の違いを
知り、いずれにしても大変な手間をかけてお酒ができることは想像以上だった。
ビデオのあと、村田さんの独演会?に移行し、ユーモアに富んだ楽しい話に爆笑の連続
だった。
　そのあと、恒例の試飲タイム。
皆が楽しみにしていた時間でもあり、いろいろ試飲した後は全員が少々重い酒瓶をものと
もせず、お気に入りの酒を下げて帰路に就いた。
　菊正宗さん、村田さん、ありがとうございました。　　　 (記　土屋）

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