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なかちゃんの「南半球一周の船旅」
うろつ記・まごつ記・思いつ記
第20報 チリ編
南米大陸の太平洋側に面したチリ。
南北の長さ4329Km、東西は平均175Kmの細長いこの国は、日本の2倍の国土面積に人口はわずか1628万人に過ぎない。
太平洋沿いに南北に伸びるため、海岸線の町に立って西側をみれば海、東側を見れば山という一種不思議な風景が赤道近くから南極付近まで4,000Kmに亘って続く。それだけに自然環境の変化も面白い。南部のバタゴニアは複雑に入り組んだフィヨルドを形成し、氷河を頂いた鋭い峰々がつづく。内陸側はアンデス山脈がボリビア、アルゼンチンとの国境を分けて横たわる。
首都サンティエゴのある中央部には田園地帯が広がり、その南には森と湖の湖沼地帯。さらに北部にはいれば砂漠地帯が広がる。
3月15日、チリ最南端の都市・プンタアレナスを訪れた。街にでるには防寒具が必要だった。5日後の20日に訪れた中央部のバルパライソでは、Tシャツ1枚で過ごせる暖かさだった。
わずか6日の間に自然の変化を全身で受け止めることができた。
1.プンタアレナス
1520年、大西洋と太平洋をつなぐ海峡を探していたマゼラン率いる船隊が新大陸を南下していた。そしてマゼランは「世界史を変える海峡」を発見した。
そのマゼラン海峡に面した、南米大陸最南端の都市・プンタアレナスは海運上非常に重要な位置にあったため、厳しい気候にも関わらず発展したのだったが、パナマ運河の開通により、この海峡をわたる船は激減し、南パタゴニアの静かな町に戻った。
「岬の先端」を意味するプンタアナレスは、人口11万人の小さな町だが、羊毛産業と、石油の採掘基地として栄えている。
メインストリートには石油の炎を表現したモニュメントや羊飼いの像などがあり、公園のように美しい街並みだった。
モニュメントの建ち並ぶメイストリートは市民の憩いの場となっている

<マガジャネス博物館>
羊毛の貿易で莫大な財をなしたオーストラリア人実業家ブラウン・メネンデスは1806年、イタリアから運ばれた大理石を使用して大邸宅を建てた。現在は博物館として公開されている。
館内は、メネンデスが所有した家具や食器、イギリスやフランスなどヨーロッパを中心に収集した調度品の数々が展示され、古き良き時代を思わせるサロンや、ビリヤード台とマージャン卓が設置された遊戯室など当時の華やかさがうかがえだ。
庭にはヨーロッパから移植された杉の大木や彫刻のほどこされた立ち木など、庭全体が芸術作品だ。
往時のヨーロッパ文明を偲ばせる展示品

<マリネス広場>
中心にマゼラン像が立つこの広場一体は唯一の観光スポット。
大砲に足をかけたマゼランの足元には先住民であるアラカルフ族が腰をかけている。その足に触れると無事に航海を終えることができるという言い伝えがあり、転じて「幸福になる」とか「再びこの地へ戻ってくる(訪れる)ことができる」といわれており、人々に撫でられた足はピカピカに光沢を放っていた。
マゼラン像の建つマリネス広場

2.バルパライソ
1536年、スペイン人征服者ディエコ・デ・アルマグロの一行が「バルパライソ(天国のような谷)」と名づけた。
その名の通り、港を囲むように広がる丘の斜面にカラフルな屋根が並ぶ美しい街で、旧市街は「港町バルパライソ歴史地区」として2003年に世界遺産にも登録されている。
急な坂をあがるアセンソールと呼ばれる傾斜式エレベーターが市民の主要な交通機関となっており、大型のものだけでも15本、細い道をのぼる小型のものを加えると数十本もあるそうだ。

港周辺から丘の上までカラフルなペンキ塗りの家々が、斜面にへばりつくようにぎっしりと建っていて「天国の谷」と呼ばれるにふさわしい絵のような景観だが、よくみるとトタン屋根あり、板塀や崩れかけた土塀ありの、貧しさむき出しの一角も多い。
パナマ運河開設前には、港町としてかなりの発展を見せたが、運河開設により衰退した。
しかし、首都サンティアゴから120Kmという地の利から、サンティアゴを建設したペドロ・デ・バルディアは1544年、この町をサンティアゴの海の玄関と決め、以後現在に至るまで貿易と漁業の両方に重要な役割を果たしている。私が訪れた時はフルーツ、ワイン、シーフードの輸出がピークを迎え、港は行き交うコンテナで賑わっていた。
また、この町には国会議事堂や海軍のメインオフィスもあり港には軍艦が繋留されていた。軍艦の写真撮影はご法度で、撮ると即没収となるそうだが、ダメだといわれると撮りたくなるのがカメラマン根性というもの。トパーズ号のデッキからこっそり撮ってはみたが何てことない写真だ。
丘の頂上付近の見晴らしのいいところに「ラ・セバスティアーナ」という博物館があった。
民主主義を守るため、ファシズムにたいし、詩でヒューマニズムを訴え続け、身をもって抵抗した英雄的詩人パブロ・ネルーダ(1904~1973)の邸宅を博物館としたもの。館内には、書斎、ダイニング、ベッドルームなど当時の姿そのままに展示されていた。

(3/21 中川嘉夫記)
【参考】
国際交流NGO・ピースボート 公式HP
http://www.peaceboat.org/index_j.html
第60回地球一周の船旅レポート
http://www.peaceboat.org/cruise/60th/index.html