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2007年ビール回帰戦争勃発キリン VS. アサヒ
ある調査によれば、自宅で飲むビールを自分で買う人の78%は「自分の気に入った銘柄を指定」しているそうです。
また気に入った銘柄を指定する人の90%が、ビールを選ぶ際に重視しているのは「味」と答えています。
つまり、ほとんどの人は「美味しい」と思ったビールの銘柄を指定して買っているのです。
いま、ビール系市場(ビール、発泡酒、第3のビール)ではキリンとアサヒがともに40%弱のシェアで拮抗していますが、その中身は全く異なります。
06年度のビール系市場はビールが約50%を占める主戦場ですが、メーカー別シェアは、アサヒ50%、キリン29%とアサヒが圧倒的に優位にあります。なかでも王者「スーパードライ」のシェアは48%とダントツで、キリンは「一番搾り」15%、「ラガー」13%となっています。
この市場のシェアと、上述の調査結果を照らし合わせるとアサヒのスーパードライが最も美味しいビールということになります。
6月のマーケティング部会でちょっとした実験をしてみました。
「アサヒスーパードライ」「キリン・ザ・ゴールド(今年3月に発売)」「その他」の3種類のビール系飲料を目隠しして7人の参加者に飲んでもらい、その銘柄と美味しいと思う順位をつけてもらいました。「その他」はキリンの円熟ですが、銘柄も種類(ビールか、発泡酒か、第3のビールか)も伏せて当てもらうことにしました。
銘柄当ての結果は21の回答(7人×3)のうち正解は1つでした。
また美味しいと思う順位の1位はなんとキリンの発泡酒「円熟」だったのです。
7人中5人が「円熟」を「アサヒスーパードライ」と思い「一番美味しい」と思ったのです。
マーケティング部会の実験が必ずしも消費者の全体像をあらわしているわけではありませんが、「ビールの味」の違いは「わからない。わかりにくい」といことは紛れもない事実です。
「アサヒスーパードライ」を指名して買っている人は、何故それを美味しいと思っているのでしょうか。
これを解くことが効果的なマーケティング戦略を実践する鍵となります。
①「美味しい」とおもったビールの銘柄を指定して買っている人が多い
②「アサヒスーパードライ」が最もよく売れている(シェアが高い)
③ だから「アサヒスーパードライ」が最も美味しいビールだ
という推論にも誤りがあります。
ビールのシェアは、指名買いをする消費者の数だけで決まるものではありません。
マーケティング戦略の基本である4P(商品、価格、流通、促進)の総合でシェアが左右されます。
アサヒとキリンの戦略を比較するとその違いは鮮明です。
キリンの戦略は、
『消費者のライフスタイルや嗜好性の多様性に着目し、「ラガー」、「一番搾り」、「ザ・ゴールド」を中心に多様なビールを楽しんでいただくことで、「スーパードライ」を「従来型定番」(キリンビール社の事業方針)として陳腐化させ、ファン離れを促進させることにあり、その布石は、「淡麗<生>」や「円熟」のシリーズ化、昨年の「キリンブラウマイスター」缶の通年化と着実に打たれ、発泡酒、新ジャンルという新市場でトップを維持し、ビール市場の多様化を図るマルチブランド戦略で「スーパードライ」依存度の高いアサヒを封じ込め、陣地を縮小させるのが狙いだ』
迎え撃つアサヒは、
『発売20 周年となる「スーパードライ」のブランド価値を磨き、更なるお客様満足を追求するマーケティング活動として「Challenge2007」を展開する。18 年連続で1億ケース以上を販売しているメガブランドも、ここ数年はビール市場縮小もあり、販売数量は低下傾向にある。発売20 周年を機にマーケティング投資を集中し、再成長軌道に乗せるのが狙いである。』
(JMRレポート「2007年ビール回帰戦争勃発キリン VS. アサヒ」より)
つまり、キリンは多品種戦略、アサヒは一点集中戦略ということになります。
「ビールの味」を銘柄選択の基準としているものの、「味の違いが分からない」状況の中で「味の好み」の多様化は確実にすすんでおり、それに合わせて商品の多様化をすすめるキリンの戦略。
「スーパードライ」という強力なブランドに集中的にマーケティング投資をして消費者に「美味しいビール」のイメージを植えつけようとするアサヒの戦略。
07年度は果たしてどちらに軍配が上がるのでしょうか興味深いところです。
マーケティング戦略の一環として両社が行っている「ブルワリーツアー」は、「見えないビールの味」を「見て飲んで」印象付けファンづくりをすすめる狙いがあります。
7月のマーケティング部会は、交流委員会と共同企画で「両社のブルワリーツアー」を開催しますが、製造プロセスや試飲で何を訴求しようとするのか、あるいは案内嬢の接客態度や説明の仕方など、マーケティングの第一線での両社の戦略の違いを比較してみたいと思います。
セイム研究所・中川 嘉夫
私も味覚試験モルモットとなり、公衆の面前で味覚音痴の烙印を押された一人です。自分の実力を自覚できたのは収穫です。ところで人間には生まれながら五感が備わっています。言葉を持たない赤ちゃんは、ママとのコミュニケーションを味覚や触覚に多くを頼っていると思われます。格別オッパイが命の糧ですから味覚は鋭いはずです。これが加齢とともに著しく劣化するのは何故なのでしょう?美味しいものを食べさせて貰ってなかったと言われたのでは寂しいです。
いやー!参りました。
キリン一番絞りは間違いなく分かる、と試飲テストを一順した後に2度目で確定させようとすると、余計に分からなくなった。
そうか!口に含んで飲んでしまうと、次々と味がmixしてしまい。違った味になったのだ。
結果、トホホ・・・1個も正解できなかった。
楽しい研究会ありがとうございました。(稲葉晃)